サッポロビール園(サッポロビール博物館)

北海道の札幌に来たならばビール好きは必ず行った方がいいビールの聖地。
日本のビールの歴史を肌で感じながら、最後にはジンギスカンとビールで心も身体も満足になること間違いなしのビアスポット!

札幌に来たならば必ず行っておきたい「サッポロビール園」。

日本のビールを語る上で重要なサッポロビールの歴史が沢山詰まった場所です。

ただ、観光で来る人たちのほとんどがサッポロビールに関するこれらの施設で混乱をきたしているのではないだろうか。

とにかく混乱するような名称が多いだけでなく、ブランディングや階層構造が混沌としているので、何がどこで楽しめるのかが分かりづらいのです・・・。

「日本のビールの歴史を学ぶにはどこに行けばいいの?」
「昔からある建造物はどこで見れるの?」
「美味しいジンギスカンとサッポロビールはどこで楽しめるの?」
「昔のサッポロビールのレシピを再現した復刻ビールはどこで飲めるの?」

これらをきちんとまとめた記事も後日公開させていただきますが、
こちらのページでは単純に「サッポロビール園」にフォーカスした情報を掲載したいと思っています。

 

サッポロビール園ってなに?

サッポロビール園とは、下記のサッポロビールにまつわる施設の集合体になっています。
簡単に言ってしまうと博物館とビアホールとお土産やさんの施設です。
各ビアホールは基本的にはビールとジンギスカンがメインですが、それぞれ内容や料金が違っています。


引用:サッポロビール園HP(https://www.sapporo-bier-garten.jp/

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【サッポロビール博物館】
・1F:サッポロビール園総合受付(ツアー参加者の受付やビール園の総合案内)
・1F:ミュージアムショップ(ビールやグッズやお菓子などのオリジナル商品)
・1F:スターホール(北海道限定ビール・工場直送ビール・有料ツアー参加者のみの復刻ビール)
・2F&3F:博物館

★博物館は3Fがスタートになります。無料の自由見学ができるツアーと有料ツアーがあります。
有料ツアーでは映像やガイドさんによる説明やツアー終了後にか飲めない復刻ビールを飲むことができます。
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【開拓使館】
・1F:トロンメルホール(17時〜21時)
・2F&3F:ケッセルホール(11時半〜21時)

★レンガ造りの明治時代の建物であることが大きな特徴です。
現在では、いずれもジンギスカンとビールを楽しめるビアホールになっていますが、扱っている料理やコースやサービスや雰囲気が違っています。
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【ポプラ館】
・1F:ロボットが料理を運ぶ「食べ飲み放題コース」を行なっています。(ドリンクはセルフ)
・2F:ポプラ館限定で団体専用の「ビュッフェ食べ飲み放題コース」を行なっています。
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【ライラック館】

★こちらでも食べ飲み放題を行なっています。
秘伝のタレをたっぷりもみ込んだいろいろな「味付けジンギスカン」が食べられるのは、サッポロビール園でライラックだけです。
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【ガーデングリル】

★個室があったり、柔らかく食べやすいワンランク上のラム肉「グレインフェッドラム」を使用しているのが特徴です。
(通常のラムは母乳と牧草で生育をしますが、グレインフェッドラムは、母乳・牧草併用の後、グレインフェッド(穀物肥育)で生育します。そのため、くせのないマイルドな味わいを楽しめます)
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サッポロの言う「ビール園」とは「ビアホールやビアガーデン」のイメージなんだろうなと思いました。
タクシーの運転手さんにその辺を聞いてみたところ、そのような感じでした。

 

敷地内周辺の様子

ビール園に車で入ってくるとこのような樽がお出迎え。
右上から縦に読むと「麦とホップを製す連者(れば)ビイルとゆふ酒に奈(な)る」と書かれています。
これは2005年のサッポロビール博物館リニューアルを記念して、サッポロビールの前身である官営「開拓使麦酒醸造所」開業式のサインを復元したものだそうです。
ちなみにサッポロビールの前身である官営「開拓使麦酒醸造所」があった場所は、現在の「サッポロファクトリー」がある場所です。
それがまた紛らわしいんですよね。
ちなみに「サッポロファクトリー」はファクトリーとついていますが、サッポロビールの工場ではなく複合商業施設になっています。
それもまた紛らわしいですよね・・・。
あと、この文字を読むと私には「連者(れば)」と書かれているように見えないのですが、昔の字だからでしょうか?

近くにはこのような巨大な釜も置かれていたりします。
これはビールの仕込釜だそうです。
説明書きには下記のように書かれていました。

ビールの原料である麦芽・ホップ・水などを混ぜて、熱を加えて煮る「仕込釜」の一部です。ドイツ、チーマン社製で、直径4m、熱を効率的に伝えるために銅で作られています。
大阪工場(茨木市)で、1961(昭和36)年から約40年間にわたって、ビールを3万回も仕込んだ、との記録が残っています。静かに役目を終えたこの釜は、竣工当時、東洋一といわれた工場の象徴として、ここサッポロビール博物館に2009(平成21)年6月に設置されました。

レンガ造りの建物を回り込むと緑とトラクターの爽やかな光景が広がっています。
この植物は「ビール大麦」です。
そこの説明書きには次のように書かれていました。

大麦は、大別して二条大麦と六条大麦があります。二条大麦にはビール造りに適した品種が多く、日本では「ビール麦」ともよばれています。ここサッポロビール博物館で栽培している品種は「りょうふう」です。北海道内で開発された品種で、粒が大きく、栄養価が高い事が特徴です。サッポロビールでは、北海道産のビール大麦全量を購入して、ビール醸造に活かしています。
当社は、創業の1876年(明治9)から今日に至るまで、ビール大麦の研究・育種に力を注ぎ、世界的に高い評価を受けています。
また、生産者と力を合わせることで、畑からこだわり、安全で質の高いビール造りに努めています。(協働契約栽培)。

【ビール大麦生長の目安】
・4月下旬:種播き
・6月下旬:実をつけ始める
・8月中旬:収穫

ビール大瓶1本(633ml)を造るのに、麦の穂を100本ほど使うそうです。

その隣にはホップ栽培の様子が展示されています。
量は多くないですが、レンガ造りの建物をバックにしてなんともいい雰囲気です。
ホップの説明書きとしては次のように書かれていました。

ホップ(アサ科)は、つる性の多年生植物です。
1日に30cm近く生長することもあり、1シーズンで8〜9mの背丈になります。
雄株と雌株がありますが、日本でビールに使用するものは雌株の球花のみです。球花の中にあるルプリンとよばれる黄色い小さな粉が、ビール特有の苦味と香りのもととなります。

北海道の冷涼な気候を活かして1877年(明治10)、道庁の東側一帯(中央区北3条西3丁目辺り)にホップ園うぃ造ったのをはじめ、稲穂(東区)、山鼻(南区)、平岸(豊平区)などでもホップを栽培していました。

【ホップ生長の目安】
・5月上旬:出芽
・5月下旬:選芽・つる上げ(ひとつの株から数本の芽を選ぶ)
・7月中旬:球花をつけ始める
・8月〜:収穫

ビール大瓶(633ml)1本に、約10個の球花を使うそうです。
以外に少ないんだなと思いましたが、皆さんはいかがでしょう?

 

サッポロビール博物館

ミュージアムは無料の自由見学コースと有料のプレミアムコースがあります。
プレミアムコースは事前に予約して1Fの受付でチェックインを行う必要があります。
いずれもスタートとなる入口は3階になります。
ちなみにこの2つのコースの大きな違いとしては下記のような感じになると思います。
基本的には展示物としては同じものを見る感じになります。

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【プレミアムツアー(有料)】

約50分のツアーで1日に12回ほど実施されます。各回の定員は20名ほどです。
・大人:1,000円
・中学生~20歳未満:500円
・小学生以下:無料

・メリット
→無料の見学コースでは見れない映像や、ガイドさんの説明を聞くことができる。
また、ツアーの最後に2杯のビールを飲む事ができます。現代の生ビール「黒ラベル」と、もう1つは開拓使時代のレシピを元にした創業当時の味「復刻札幌製麦酒」で、このツアーに参加する事でしか飲めないもの。
※お酒が飲めない人には、「ノンアルコールビール」「ソフトドリンク」から2杯、20歳未満の人は「ソフトドリンク」から2杯を選ぶことができます。

・デメリット
→ガイドさんの展示物の説明は全てではなく、重要そうな部分をかいつまんだものなので、全ての解説を見れないのと、自分のペースで見れないことでしょうか?ただ、これはプレミアムツアーの前後に無料コースを見ておけば良いことです。
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【自由見学コース(無料)】

受付などは不要で本当にいつでも自由に見学できます。スタートはプレミアムツアーと同じ3Fです。
ガイドさんの説明や特別映像やツアー終了後のビールが飲めないだけでそれ以外は同じです。

・メリット
→無料で自分のペースで見学することができる。

・デメリット
→ガイドさんの説明や特別映像やツアー終了後のビールが飲めない
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プレミアムツアーの集合場所に掲げられていた開拓使の旗。
サッポロビールのマークはなぜ星なのかと思っていた人もいるかもしれませんが、ルーツはここにあります。
「北海道開拓使」は明治政府によって1869年に北方開拓を目的に設置されました。
この開拓使のシンボルマークが赤い星、「五稜星」です。
蝦夷地へ向かう開拓使の船が目指した北極星がモチーフとなっています。
それが今でもサッポロビールのシンボルマークとして残っているなんてなんかすごいですよね。

巨大な煮沸釜(しゃふつがま)。スロープを下りながら、サッポロビール札幌工場で使用されていたものを見学できます。右側のスロープと比較するとその大きさに驚きます。

煮沸釜の説明書きとしては次のように書かれていました。

サッポロビール札幌工場で使用されていた煮沸釜(ウォルトパン)。
ビールの仕込時に麦汁を煮沸するためのもので、この工程が味や香りに大きな影響を及ぼす。ここでホップを加えて煮沸することにより、ビール独特の苦味と香りがつけられる。

ビール酵母の純粋培養装置
この装置はハンゼン・キューレ培養装置(Hansen-Kuhle Reinzuchtapparat)と呼ばれるもので、デンマーク・コペンハーゲンのW.E.Jensen銅器製作所で造られた。
大日本麦酒株式会社が1911年(明治44)に札幌工場に導入、1964年(昭和39)までの半世紀以上も、サッポロビールのすぐれた酵母の純粋培養に役立ってきた。装置は麦汁缶と発酵缶に分かれているが、これは発酵缶。

小型の酵母純粋培養器
銅製の内側に錫(すず)メッキをほどこした容器で、カールスベルヒコルベン(karlsbergklben)と呼ばれる。フラスコで増やした酵母はまず、この容器の中で培養され、ハンゼン・キューレ純粋培養装置に移された。

シャーレン フィルター
1950年代後半まで使われていたビールろ過機(ドイツ製)。多数の丸いろ過枠を合わせ、その間に特殊な綿(ろ過綿)を圧搾・成型して挿入し、ビールがこの中を通ることによりろ過される。ろ過に使われる綿の成型は当時一枚一枚手作業で行われていたが、厚さ・密度を均一に保つ必要があり、高度の熟練を要する作業であった。

大日本麦酒株式会社 製麦所の模型
この博物館の赤レンガの建物は明治期に建設されたもので、1890(明治23)年に札幌製糖株式会社の工場として竣工されたそうです。それを1903年5月、札幌麦酒が買収し、ビールの原料となる大麦を麦芽にする製麦所に改修し、閉鎖されるまでの60年間、製麦所として使われました。

札幌麦酒が買収したのになぜ模型のタイトルが「大日本麦酒なの?」と思うかもしれませんが、最初の開拓使麦酒醸造所から現在のサッポロビールになるまでには以下のような流れをくんでいます。

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・明治2年:北海道の開拓使の事業が開始

・明治9年:「開拓使麦酒醸造所」が完成

・明治15年:開拓使廃止に伴い「札幌麦酒醸造所」と改称

・明治19年:「大倉組札幌麦酒醸造場」の名で民営化

・明治20年:渋沢栄一らを中心とした経営陣を迎え「札幌麦酒会社」として発展

・明治39年:札幌麦酒会社、日本麦酒会社(恵比寿ビールで有名)、大阪麦酒会社(朝日ビール)の3社が合同して「大日本麦酒株式会社」になる(日本最大のビール会社)

・昭和24年:大日本麦酒が「日本麦酒株式会社」「朝日麦酒株式会社」に分割
(この際、「サッポロ」「ヱビス」の両ブランドは日本麦酒が継承)

・昭和39年:社名を日本麦酒株式会社から「サッポロビール株式会社」に改称
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「開拓使麦酒醸造所」の初代醸造技師には中川清兵衛(なかがわせいべえ)という人が就任していて、この人は日本人として初めてビールの本場のドイツで本格的なビール醸造を学んだ人です。
そしてそのガッツが凄すぎるのですが、新潟出身のこの中川氏は16歳で横浜に行き、翌年に幕府の厳しい禁を犯して勝手に単身イギリスに渡ったというから驚きです。
その後、24歳でイギリスからドイツに渡り、後の外務大臣となる青木周蔵(あおきしゅうぞう)と出会ってビール醸造技術習得のための支援をしてもらうことになります。
そしてベルリンビール醸造会社での2年2ヶ月の修行で就業証書を持って帰国し、「開拓使麦酒醸造所」の初代醸造技師となりました。

また、もう1人重要な人物がいます。
醸造所建設の責任者である村橋久成(むらはしひさなり)という人です。
当初、醸造所は東京に建設される予定だったものを「東京は暑すぎる。ビール醸造に適した、気候が涼しい北海道で作るべき!」と、当時は反論することなど言える状況ではない中で、捨て身の覚悟で提言を行なって、札幌での建設を行うことになったそうです。
保身に走らない凄い勇気です。

他にも様々な展示があって見応え抜群です。
当時の宣伝ポスターなどもありました。
モデルさんが和装なことや文字が右から左に流れていること、星マークが赤い事が印象深いです。

当時から変わらない星マークを使ったラベルデザインが印象的です。

 

プレミアムツアー(有料ツアー)でのビール試飲

プレミアムツアー(有料ツアー)の最後には、2杯のビールをいただくことができます。
「サッポロビール生ビール黒ラベル」と、プレミアムツアーでしか飲めない貴重な「復刻札幌製麦酒」が楽しめます。
「復刻札幌製麦酒」は、明治9年の文献を参考に原料を配合、明治14年当時の醸造方法をより忠実に再現し復活させたビールです。
「サッポロビール生ビール黒ラベル」と比べると「復刻札幌製麦酒」の方が色にやや濁りがありますが味は共通するものを感じました。濁りはおそらくろ過の違いかと思いますが、当時から同じような味わいのものだったことに感動します。

また、紛らわしいですがプレミアムツアーに参加しなかった場合でも、ホールでは「開拓使麦酒ピルスナー」というものが販売されています。
これは「復刻札幌製麦酒」を現代風にアレンジしたもので厳密には別物です。

「復刻札幌製麦酒」「開拓使麦酒ピルスナー」のいずれもマイクロブルワリー「札幌開拓使麦酒醸造所」で作られています。
小規模醸造なのでクラフトビールブルワリーの1種に入ってくるのかもしれません。
この「札幌開拓使麦酒醸造所」は、一番最初のサッポロビールの前身である「開拓使麦酒醸造所」の跡地である複合商業施設「サッポロファクトリー」の中にあり、そこにあるブルーパブ「BREWERY 1876」でも楽しむことができます。

趣のあるグラスで飲めるのも嬉しいです。

ツアーのみんなで乾杯した後には、普通の缶ビールでもグラスに「3度つぎ」することでおいしく飲めるデモンストレーションが行われます。
歴史を肌で感じ、最後には時間の経過を舌と喉で楽しめる、とても満足なツアーになっています。

「開拓使館」でのジンギスカンと生ビールの詳細は下記の別のページでお伝えいたします。

開拓使館 ケッセルホール(サッポロビール園)

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・営業時間が変更になっている可能性あり
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  • ブルワリー直営店
  • 子連れ可
  • 飲み放題あり
  • 昼飲み可
  • 予約可
  • 駐車場あり
  • クレジット利用可

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ビールと共にある「美しいものや楽しいこと」で、あらゆる人の人生を豊かにするような世界を作ってくことを使命としてビールプロジェクトを行っています。
人生は一度きり。人と人の出会いは宝物であり、何かが始まる起点。ビールはその可能性を持っていると信じています

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